
話は数ヶ月前に遡る。
そう、僕がまだただの公僕だった頃の話だ(今はさらに何者でもないが)。
当時退職を検討していた僕には、二つの選択肢があった。
一つは独立、もう一つは転職だ。
独立の選択肢において成功するには、価値を生み出し収益化する必要があるらしい。
ほぼ公務員一筋で生きてきた僕にとって、価値を生み出して収入を得ることなど想像すらできないのが現実だった。
稼ぐ観点でいえば幼稚園児に匹敵する実力だろう。
あるのは風格だけだった。
というわけで、独立をしても収入の見通しが全くない状況だったので、なんとなくという感じで転職を検討してみることにした。
今思えば、この”なんとなく”の心構えが良くなかったのかもしれない。

まずは自分の市場価値を確認
その頃の僕の転職に関する知識はこんな感じだった。
- 転職においては「市場価値」なるモノサシが存在していること
- 転職で成功(主に年収アップなど)するためには自分の市場価値が高いこと
そこで僕は、
「まずは自分の市場価値を確認することにしよう!」
と短絡的に考えた。
公務員の仕事も中堅クラスとしてそれなりにやってきたので、市場価値もそれなりのものだろうと甘い見通しを持ちながら自分の市場価値の確認を始めた。
そこでまず行ったのは、某転職サイトへの登録だ。
住所や氏名などの基本データを登録し、スキルや経験の入力を行う。
スキルリストを見た瞬間、嫌な予感がした。
マーケティング?、、、やってない。
簿記?、、、やってない。
プログラミング?、、、やってない。
数十種類あるスキルを見事にスルーしてようやく見覚えのあるスキルを発見した時には、自分の市場価値の低さを予感し始めていた。
法務?、、、ギリギリいけるか?
文書作成?、、、一応いけるか?
マネジメント?、、、よしとしよう!
そしてスキルのチェックを終えて、長文の自己PRを書くことになった。
「書くことがない、、、」
市場価値の低さが確定した瞬間だった。
しかし「自分の価値はこんなものじゃ測れないのだ」という怒りにも似た感情を抱きながらも、希望職種の入力へと進む。
次の瞬間、
「転職してまでやりたいことがないんだけど、、、」
「自分は音楽がしたいんだけど。」
「というか基本、何もしたくない説もあるんだけど。」
とりあえず、「何もしたくない」という選択肢はそのサイトになかったので(どこにもないか)、流行りの?プログラミング関係(未経験)の職種の希望欄にチェックをつけて先に進んだ。
よくわからないが異常な疲労感を感じながら登録を終えた時には、精神的体力は5%ほどになっていたので、転職エージェントとの面談日程の予約までは行わなかった。
その後、日程調整については転職する気もあまりない状態だったので放置していたが、面談の予約をするよう連絡が何度も来ていたので、あちら側もそんなに面談したいのであれば無下に扱うのもどうかと思い、ひとまず面談の予約を行なった。
せっかくエージェントの時間をもらって行う面談だし、何か前向きに考えられるヒントがあるかもしれないな、と期待しながら面談を受けたが、なぜか面談の初めから転職サイトのエージェントにやる気が全く無く、面談は5分ともたずに終了してしまった。
面談の内容は、
「未経験だと年収300万円になります。」(「あなたに市場価値はありません」と解釈。)
「他に何かありませんか?」(「あなたに用はありません」と解釈。)
この2点だけであった。
そもそも転職に具体的なビジョンがない状況で、予感していたものの自らの市場価値の低さを突きつけられ、しばらくは、なぜこんな事態になったのか意味がわからず放心状態に陥っていたが、それから立ち直ってというか開き直って今に至る。
市場価値って何だ
それにしても、そもそも市場価値という考え方が気に食わない。
人にはそれぞれ固有の価値があり、かけがえのない存在であるはずなのだ。
みんなそれぞれ大切な人生があって、大切な人のために生きている。
単一なモノサシで計れるものではないはずだ。
わるい。熱くなりすぎた。

成功の定義せますぎ
今の世の中は、経済的な成功が定量的でわかりやすいからか、その価値観に多くの人が吸い寄せられている。
多く稼いでいる人は成功していて素晴らしい。
低収入の人は成功していなくてダサい。
ところで、SNSを見ても「月収100万稼ぐ方法教えます!」とか「個人で生きる力を教えます!」とか「どん底から億万長者へ!ノウハウ教えます!」とか喧伝する人々であふれている。
経済的成功が人生唯一の道であるかのような風潮が蔓延しているようだ。
成功の定義を押し付けられているように感じるのは僕だけなのだろうか。
僕はマイペースに生きたいだけなのに、
「君も成功したいんだろ?じゃあもっと走らなくてはダメだ」とあらゆる方向からハッパをかけてくる。
暇な人は試しにツイッターを覗いてみてほしい。
やたら成功している人であふれていて、しかもその方法を教えてくれるという善意の人たちであふれている。
素晴らしい世界だ。
僕は悟ったのでお金を稼ぐことに興味がない。
というのは真っ赤なウソで、稼がないと生きていけない社会にいるので、それなりには稼ぎたい。

結論:公務員の転職は難しい
話は逸れまくったが、結論として公務員に転職は難しい。
公務員をやめるなら独立した方がいいというのが僕の考えだ。
なんなら独立して成功する方法をお教えするので、連絡してほしい。
あれ?どこかで聞いたことがあるような、、、
ただし、公務員の転職が難しいというのは、経済的成功という価値観においての話に限る。
自分にとっての成功とは何か。
そこさえしっかり見つけることができていれば、転職は難しいものではないと思う。
転職先で今よりもやりたいことがあるかどうか。
進む道に迷っているのであれば相談に乗ることはできるので、いつでも連絡してほしい。
初回1時間無料でどうだろう。
あれ?
どうやらツイッターの人たちに影響を受けすぎたようだ。
まあでも公務員の転職相談、意外と悪くないかも。
繰り返しになるが、公務員が転職を考えるときは、自分の成功の定義を考えなければ難しいというのが僕の結論だ。
生き方は人それぞれ。
名声、高給、そんなものは突き詰めると意味はない。
誰かが決めた目的地は蜃気楼みたいなものだ。
そこにたどり着いてもおそらく何もないのだろう。
自分で目的地を見つけてそこに向かうことにしよう。
「何もやりたくない」
これも立派?な生き方だろう。
おまけ:今読んでいる本
「資本家になろうかな」と思う今日この頃。
実現性があるかどうかは別として読み物としては好きだ。